映画「風立ちぬ」感想レビュー - ヒーローフィギュアをレビュー!

映画「風立ちぬ」感想レビュー

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今回は、
映画「風立ちぬ」の感想レビューです。
※完全なネタばれなので、これからご覧になる方はご注意ください。



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「宮崎駿監督」の映画「風立ちぬ」を観て来ました。

2008年公開の「崖の上のポニョ」以来5年ぶりとなる
「宮崎監督」の新作アニメ映画です。

以下が「あらすじ」と「感想」です。

※完全なネタばれなのでこれからご覧になる方はご注意ください。
また、うろ覚えのため実際の作品の内容と異なる記載があるかもしれませんが、
ご容赦願います。


「ひこうき雲」荒井由美

※動画投稿者の方へ、ありがたく使わせて頂きます。




(あらすじ)

1916年(大正5年)
群馬県・藤岡に暮らす
小学生「堀越二郎」は、
自作の「鳥型飛行機」を操縦し、
町の上を飛行する夢を見る。

快調に飛行する「二郎」の前に、
暗雲から出現した謎の飛行機集団が
襲いかかる。

近眼のため相手の姿を把握できない「二郎」は、
空中分解してしまった「鳥型飛行機」から
地上に落下していく。


夢から覚めた「二郎」は、
学校の先生に
イタリアの飛行機制作者
「ジャンニ・カプローニ」の本を借りる。

学校の帰り道で
いじめっ子達から後輩を庇い、
喧嘩をした「二郎」を
「母(声:竹下景子さん)」は注意しつつも
優しく接する。

自室の机に向かい
「カプローニ」の本を読んでいた「二郎」は、
そのまま眠ってしまう。

すると夢の中で、
「二郎」は
「カプローニ(声:野村萬斎さん)」と出会う。

「カプローニ」の飛行機に招待された「二郎」は、
近眼のため飛行機の操縦ができない事と、
飛行機の設計者になりたいという自分の夢を伝える。

すると「カプローニ」は、
自分も飛行機の操縦ができない事を明かし、
「飛行機は美しい夢だ」
と語り、
「二郎」の夢を応援する。



1923年(大正12年)9月1日、
東京帝国大学工学部航空学科の学生となった
「二郎(声:庵野秀明さん)」は、
汽車で大学へ戻る途中であった。

風で飛ばされた「二郎」の帽子を、
二等列車の乗客「里見菜穂子」が受け止める。

危く列車から落ちそうになった「菜穂子」を、
「二郎」が助け、
両者は互いにお礼をし合い戻って行く。

その直後、
巨大地震(関東大震災)が発生し、
汽車は緊急停車する。


「二郎」は、
足を骨折した
「お絹(菜穂子の付き添い)」を背負い、
「菜穂子」の家のある上野へと向かう。

地震により家屋は倒壊し、
あちこちで火災が発生する中、
「二郎」等3名は、
人々が避難する神社へと辿り着く。

「二郎」は「菜穂子」と共に、
彼女の家へと向かう。

逃げ惑う人々の雑踏の中、
「菜穂子」の手をしっかりと握りながら
「二郎」は上野の家へと辿り着き、
使用人の男達を連れて神社へと戻る。

「お絹」を使用人達に託した「二郎」は、
そのまま名前も告げずにその場を去って行く。

「二郎」が大学に辿り着くと、
校舎は炎上していた。

同じ学科で学ぶ
「本庄(声:西島秀俊さん)」と再会した「二郎」は、
校舎から運び出された書籍の山の前で座り込む。

そんな「二郎」の脳裏に、
再び「カプローニ」が現れ、
語り掛けて来る。


1925年(大正14年)、
航空学科の引っ越し先で
相変わらず勉学に励む「二郎」の元に、
新品のシャツと計算尺が届く。

「二郎」は震災の際、
骨折した「お絹」の足を
計算尺で固定し、
自分のシャツを手拭代わりに渡した事を思い出し、
教室を飛び出し彼女の姿を探すが、
既に去った後であった。

下宿に戻ると、
「二郎」の妹である
「堀越加代(声:志田未来さん)」が
実家から訪ねて来ていた。

震災後連絡を寄越さなかった事で、
「加代」は「二郎」を責める。

「二郎」は「加代」に詫び、
彼女を途中まで見送る事にする。

その道の途中、
「加代」は将来医者を目指すと伝え、
「二郎」は静かに応援する。


1927年(昭和2年)、
金融恐慌の世相の中、
「二郎」は、
「本庄」と共に
「三菱内燃機株式会社」に就職する。

「二郎」は配属先の責任者
「黒川(声:西村雅彦さん)」から、
初仕事として
隼型戦闘機の取付金具の設計を任される。

「黒川」から
逸材として紹介された「二郎」は、
ハイレベルな仕事をそつなくこなす。

「二郎」は自らの作業場を離れ、
「本庄」と共に、
工場内の飛行機を研究し、
様々なアイデアを思いつく。


1928年(昭和3年)、
「二郎」が設計に携わった
隼型戦闘機は、
テスト飛行に失敗する。

困惑する「二郎」は、
「黒川」の計らいにより、
「本庄」等と共に、
ドイツの「ユンカース社」を視察する事となる。


1929年(昭和4年)、
「ユンカース社」を視察した
「二郎」と「本庄」は、
思いがけず、
G-38の飛行機への搭乗が許可される。

G-38の機関部を見学した
「二郎」と「本庄」は、
最新の技術に感銘を受ける。


1932年(昭和7年)、
「二郎」は
七試艦上戦闘機の
設計主務者に選ばれる。


1933年(昭和8年)
七試艦上戦闘機のテスト飛行は
失敗に終わる。

「二郎」は失意のまま、
軽井沢を訪れる。

するとそこには、
かつて震災の時に
「二郎」が出会った
「里見菜穂子(声:瀧本美織さん)」の姿があった。

「父親=里見(声:風間杜夫さん)」と共に
軽井沢を訪れていた「菜穂子」の傍を、
「二郎」はそのまま通り過ぎて行く。

その時突然強風が吹き、
絵を描いていた「菜穂子」のパラソルが
飛ばされてしまう。

「二郎」は咄嗟にパラソルを掴み、
「里見」に渡し、
そのまま宿泊先のホテルに帰ってしまう。

夕食時、
ホテルのレストランで、
1人食事する「二郎」は、
自分の傍の席で
大盛りのクレソンのサラダをほおばる
謎の外国人「カストルプ(声:スティーブン・アルパートさん)」に
関心を示す。

少し離れた席から
「菜穂子」は
「二郎」の姿を見つめていた。


その後、
先日「菜穂子」と出会った野原を訪れた「二郎」は、
彼女の画材道具が森の傍に置かれている事に気付く。

そのまま森の奥へと進んだ「二郎」は、
泉の前に立っている「菜穂子」と対面する。

すると「菜穂子」は涙ながらに、
震災の時に助けてもらった
お礼をずっと言いたかったと語る。

その時雨が降り出し、
2人は肩寄せ合って
パラソルを差して
ホテルへと向かう。

「菜穂子」は「二郎」に、
「お絹」がお嫁に行った事と、
自分や「お絹」にとって
「二郎」は白馬の王子様であった事を伝える。

やがて雨が上がり、
「二郎」と「菜穂子」は、
空にかかった虹を見上げる。

そこへやってきた「里見」に、
「菜穂子」は「二郎」を紹介し、
「里見」は「二郎」を夕食に誘う。


その日の晩、
ホテルのレストランで、
「菜穂子」親子が来るのを待っていた「二郎」に、
「カストルプ」が話しかけて来る。

「カストルプ」は、
日本の国際連盟脱退や
ドイツのナチス政権成立の話題を取り上げ、
日本が危機的状況に立たされている事を
示唆する。

するとそこへ「里見」が現れ、
「菜穂子」が熱を出したため、
会食は中止する旨を伝える。

その夜、
「菜穂子」の部屋からは
ただならぬ雰囲気が漂い、
「二郎」は気が気でなかった。

後日、
「二郎」は紙飛行機を折り、
2階の「菜穂子」の部屋目掛けて飛ばそうとする。

1階の屋根に乗ってしまった紙飛行機を
「二郎」が取ろうとしたところ、
2階からひょっこり「菜穂子」が姿を見せる。

「二郎」が驚いた拍子に、
風に乗って舞い上がった紙飛行機は、
「菜穂子」の元へ舞い降りる。


それから「二郎」は、
地上から2階のベランダにいる「菜穂子」に
紙飛行機を飛ばし続ける。

「菜穂子」は、
「二郎」の様子に
一喜一憂する。

「カストルプ」は、
そんな2人の様子を
暖かく見守っていた。


それからしばらく後、
「二郎」・「里見」・「カストルプ」等は、
ホテルのレストランで同じテーブルを囲む。

「カストルプ」は、
軽井沢が「魔の山」であり、
誰でも元気になれる場所であると語り出す。

そして、
ここに来た当初元気のなかった「二郎」が、
今ではすっかり元気になり、
それは彼が恋をしているからだと指摘する。

「カストルプ」の言葉を聞いて動揺する「里見」に、
「二郎」は「菜穂子」の事を愛している事を明かす。

そこへやって来た「菜穂子」は、
母親が結核で既に亡くなり、
自分も同じ病である事を
「二郎」に明かす。

しかし「二郎」は、
汽車で帽子を受け止めてもらった時から
「菜穂子」の事を愛していたと語り、
彼女に求婚する。

「菜穂子」はその場で申し出を受け入れ、
病気の事で気兼ねしていた「里見」も、
歓喜の涙を流しながら
2人の婚約を認める。


それから暫くの間、
「二郎」と「菜穂子」は
幸せな時間を過ごすが、
やがて「二郎」は
名古屋の会社に戻って行く。


「二郎」は、
工場内で組み立て中の
「本庄」の八試特殊偵察機を見て、
感銘を受ける。

「本庄」は、
以前「二郎」が提案したアイデアを、
八試特殊偵察機に取り入れたいと申し出る。

「二郎」は「本庄」の申し出を、
快く受け入れる。

その直後「黒川」から、
自分が特高(特別高等警察)に
目を付けられている事を
「二郎」は知らされる。

「二郎」は思い当たる節がない事を訴えるが、
「黒川」は自分の知り合いも
理由も分からぬまま
特高に狙われた事を明かす。

「黒川」の計らいで、
「二郎」は会社内の目立たぬ場所で
仕事を続ける事になり、
「黒川」の自宅に身を隠す事になる。

「黒川」の上司の
「服部(声:國村隼さん)」も、
「二郎」を守るため協力する。


そんなある日、
「黒川邸」の「二郎」に、
会社の「黒川」から
「菜穂子」が喀血したという
電報の内容が知らされる。

「二郎」は、
「黒川夫人(声:大竹しのぶさん)」の助けを借り、
東京の代々木上原にある
「菜穂子」の実家に急ぎ向かう。

「二郎」が駆けつけると、
自室のベットで眠っていた「菜穂子」は目を覚まし、
2人はしっかりと抱き合う。

帰宅した「里見」に挨拶をして
「二郎」が名古屋に戻った後、
「菜穂子」は、
結核を完治させるため、
富士見の高原病院へ入院する事を告げる。


名古屋に戻った「二郎」は、
九試単座戦闘機の設計主務者に選ばれる。



1934年(昭和9年)、
「菜穂子」は高原病院を抜け出し、
「二郎」に会うため名古屋へ向かう。

「二郎」と「菜穂子」は
駅のホームで固く抱き合う。

「二郎」は「菜穂子」を連れて
「黒川邸」に戻り、
今すぐ結婚式を挙げるため、
「黒川」と「黒川夫人」に
仲人を頼む。

既に「里見」も了承済みである事を知らされた
「黒川夫妻」は仲人を引き受け、
「二郎」と「菜穂子」の結婚式が、
ささやかにとり行われる。


「二郎」と「菜穂子」は、
「黒川邸」の一室で、
夫婦生活を送る。

「二郎」は、
自分の傍で横になる
「菜穂子」の手を左手で握りながら、
右手で図面を描き続ける。


1935年(昭和10年)、
「黒川邸」を訪問した「加代」は、
家の中でほとんど寝たきりの
「菜穂子」を気の毒に思い、
「二郎」を責める。

そんな妹に、
「二郎」は自分達夫婦の決意を
静かに語る。


ある日の晩、
帰宅した「二郎」は、
九試単座戦闘機が完成した事を
「菜穂子」に報告し、
そのまま疲れ果てて眠りに就く。

「菜穂子」は「二郎」に身を寄せ、
添い寝する。


九試単座戦闘機のテスト飛行の日、
「二郎」は「菜穂子」とキスを交わして
出勤する。

同日の昼間、
「菜穂子」は「黒川夫人」に、
気分が良いため散歩に行くと告げる。

「加代」は、
「黒川邸」に向かうバスの中から、
すれ違う「菜穂子」の姿を見つける。

「黒川夫人」と共に、
「二郎」と「菜穂子」の部屋に入った「加代」は、
自分達に宛てた「菜穂子」の置手紙を見つける。

「菜穂子」が
高原病院に戻る事を知った「加代」は、
追いかけようとする。

そんな「加代」を「黒川夫人」は、
「一番きれいな自分を見てほしかった」
という「菜穂子」の「二郎」への思いを伝え、
引き止める。

その直後、2人はその場で泣き崩れる。


各務原で、
九試単座戦闘機のテスト飛行の
成功を見届けた「二郎」は、
何かを感じ取り、
遠くを見やる。



1945年(昭和20年)、
「二郎」は夢の中で、
「カプローニ」と3度目の再会を果たす。

「君の10年はどうだったかね。力を尽くしたかね。」と尋ねる「カプローニ」に、
「はい、終わりはズタズタでした。」と「二郎」は語る。

「国を滅ぼしたんだからな。あれだね君のゼロは」と語る
「カプローニ」の視線の先には、
残骸の山と化した零戦があった。

「カプローニ」は、
自分達のいる夢の世界で、
ずっと「二郎」を待ち続けている人がいる事を伝える。

すると広大な草原の向こうから、
パラソルを差した「菜穂子」がやって来る。

「あなたは生きて」
という言葉を「二郎」に遺し、
「菜穂子」は風と共に姿を消す。

「カプローニ」は
「君は生きねばならんな」
と語りかけ、
「二郎」は涙を流す。

「二郎」は、
「うまいワインがある」と言う
「カプローニ」に連れられ、
草原の向こうへと歩み出す。







(感想)


最初に、
本作を観るまで、
個人的に「風立ちぬ」という言葉を聞くと、
「松田聖子さん」の歌う「風立ちぬ」のサビを連想していました。

「風立ちぬ」松田聖子

※動画投稿者の方へ、ありがたく使わせて頂きます。


本作の主人公のモデルとなった
「堀越二郎」と「堀辰雄」の事も
全然知りませんでした。

この作品の題名の由来となった
「堀辰雄」の小説「風立ちぬ」自体は
読んだ事はありません。

ただし、
1976年に公開された
山口百恵さん主演の
映画版の存在は知っていました。

上記の映画には、
「ウルトラセブン」の
「モロボシ・ダン」役で知られる
「森次晃嗣さん」も出演していました。



それでは、
本作で「良かったと感じた点」と
「残念に感じた点」について、
以下に記載します。


まず、本作で良かったと感じた点については
以下の通りです。


まず、
主人公「堀越二郎」の「瞳」が、
非常に美しく輝いている様に
描かれていた事が印象的でした。

アップになった時のみですが、
大変強調されていると感じました。


続いて良かった点は、
物語の舞台が、
東京、名古屋、軽井沢、ドイツ等
複数箇所に渡る点です。

「借りぐらしのアリエッティ」等
他の監督の「スタジオジブリ作品」では、
舞台が一箇所に限定される印象がします。

しかし本作では、
各舞台で、
中身のしっかり詰まった
ドラマが展開し、
「宮崎監督」の力量を感じました。


そして本作の
飛行機のエンジン音等
劇中に登場する音が、
人間の声で表現されており、
面白いと感じました。

また、
それだけではなく、
関東大震災の場面の
地震の音が、
人の声で表現される事により
不気味さが増していた様に
感じました。

そして「宮崎監督の作品」ではお馴染みの
「見るからにおいしそうな食べ物」が
本作でも登場しました。

「二郎」が食べる食堂の定食のおかずや、
駄菓子屋で買ったお菓子等、
どちらもおいしそうに描かれていると思いました。

「二郎」と「菜穂子」の恋愛描写が、
「飛行機の開発」の過程と共に描かれ、
物語のいいクッションになっていると
感じました。

飛行機の設計に携わる「二郎」の姿が描かれただけでは、
もっと堅苦しい雰囲気の作品になっていたかもしれません。


劇中で、
「二郎」と「菜穂子」のキスシーンが
頻繁に描かれ、
新鮮だと感じました。

キスシーン自体は、
「ハウルの動く城」等でも描かれた事がありますが、
今回は画面に大きくクローズアップして
描かれていました。

スタジオジブリの作品では、
「耳をすませば」や「コクリコ坂から」等、
恋愛が描かれた作品はこれまでにもありましたが、
「宮崎監督」の作品では、
本作程大々的に描かれた事は
これまでにはなかったと思います。

直接の描写はありませんが、
「二郎」と「菜穂子」が
初夜に結ばれた事を
彷彿とさせる場面もありました。

本作の「二郎」と「菜穂子」の様に、
カップルの片方が
不治の病に冒された
悲恋の物語というのは、
昭和に放送された大映ドラマや
韓流ドラマでお馴染みですね。

ありきたりと言えばそれまでですが、
見ていて切なく思いました。

その分
感銘を受ける部分だと思いました。


そして
「関東大震災」の場面が、
きちんと描かれている点が、
評価できると感じました。

2011年に発生した
「東日本大震災」以来、
地震や津波を彷彿とさせる描写を
自粛する動きが
創作物の世界では
目立つ様になりました。

しかし本作では、
「東日本大震災」発生前から、
描く予定であったとは言え、
作品を成立させる上で、
必要不可欠の場面として、
そのまま残してくれた姿勢に
共感しました。

それから、
主人公「二郎」は、
経済的に恵まれた家庭に生まれ、
いじめっ子を投げ飛ばす程の腕力があり、
周囲から重宝がられる優等生という印象で、
感情移入しづらいと序盤は思いました。

しかし中盤で、
貧困層の子供達に、
買ったばかりのお菓子をあげようとして、
逃げられた事を「本庄」に話した「二郎」が、
その行為を偽善と批判され
反論できずに困惑する姿が描かれました。

「本庄」の言葉に対し、
一瞬声を荒げる「二郎」の姿を見て、
初めて親近感を感じました。

さらに「本庄」が、
同じ様な貧しい子供が日本にどの位いて、
自分達が飛行機の開発に費やしているお金で
どれ程の食料を買う事ができるかを説く場面が
感慨深かったです。

個人的に、
「二郎」が自分とは住む世界の異なる人々の
置かれた実情を知り、
自分達の携わる仕事の責任の重大さを
再認識する場面だと感じました。




続いて、本作で残念に感じた点については
以下の通りです。


今回何よりも残念に感じた点は、
主人公「堀越二郎」が
魂の抜け殻みたいで
浮いている印象がした事です。

今回「堀越二郎」の声を担当したのは、
アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の監督でお馴染みの
「庵野秀明さん」です。

「庵野さん」の演技が、
終始ぎこちなく、
「二郎」が「菜穂子」にプロポーズをする場面や、
ラストの涙声で話す場面等、
肝心の見せ場が
台無しになっている印象が否めませんでした。

台詞自体が良くても、
抑揚のない話し方のため、
ほとんど印象に残りませんでした。

今回「庵野さん」は
やっても無駄と考え、
役作りはしなかったそうです。

「庵野さん」は若い頃、
自主制作映画で
「帰ってきたウルトラマン(?)」役を
自ら演じていたので、
今回もちゃんとお芝居をしてほしかったです…


他の主要な登場人物を演じた皆さんは、
特に違和感なく演じていたので、
余計残念に感じました。
(ただし「菜穂子」役の「瀧本美織さん」の声を聞くと、
「ソニー損保」のCMが浮かんで仕方ありませんでした…)


正直言って、
「となりのトトロ」の
「草壁タツオ(サツキとメイの父親)」役の
「糸井重里さん」や、
映画「コブラ SPACE ADVENTURE」の
「コブラ」役の
「松崎しげるさん」の演技の方が
ずっとマシだと感じました。


「堀越二郎」の役を、
「山寺宏一さん」や
「中村悠一さん」等、
第一線で活躍している声優さんが
演じていれば、
もっと感情移入しながら、
鑑賞できたと思います。

「宮崎監督」は以前、
自分の作品にプロの声優を
使わなくなった理由について、
他の作品ではまり役を持っている声優だと、
声を聞くと、
そのキャラクターのイメージが浮かんでくるため、
使いたくないとコメントしていたそうです。

本作公開前のインタビューでは、
「海外ドラマの声優たちの、
手慣れたしゃべり方は聞くに堪えない。」
と新たにコメントをしていました。

さらに
「二郎の声には角が取れていない人がいいと思いました。
庵野の声は人を信用させるところがあるんです。」
と起用した理由を語っていました。

「宮崎監督」は、
確固たるこだわりを持って、
人選を行ったと思われます。

しかし個人的には、
映像と完全にシンクロする
臨場感溢れる演技ができる
プロの声優さんは
やはりアニメには必要だと思います。

先日アニメ「進撃の巨人」を見ましたが、
眼前で母親を巨人に喰い殺された主人公が、
涙ながらに復讐を誓う場面が、
非常に深く印象づけられました。

やはり
プロの声優さんが演じる
感情の込められた
臨場感たっぷりの台詞だからこそ、
そこまで胸に響いたのだと思います。

もし仮に同じ場面を
今回の「庵野さん」と同レベルの
演技で聞かされた場合、
絶対拍子抜けしたと思います。

「しゃべり方が手慣れているからダメ!」と言われたら、
キャラクターになりきるため、
毎回試行錯誤しながら必死で演じている
プロの声優さん達の立場は
一体どうなるのでしょう?

まあ、
「ちゃんとプロの声優さんを使ってください!」と
「宮崎監督」に直談判した所で、
今更方針を変える事は不可能でしょうね…

個人的な希望としては、
「二郎」の声は、
プロの声優さんが駄目なら、
俳優の「向井理さん」が
適役ではないかと思いました。

「向井さん」の声なら、
「角が取れていない」という点では
条件を満たしていると思います。

スタジオジブリの
「鈴木敏夫プロデューサー」曰く、
「宮崎監督」は、
現在活躍中の芸能人について
ほとんど把握していないそうです。

最新の芸能情報を網羅し、
「宮崎監督」のイメージ通りの
演技ができる芸能人を
推薦できる人材を
スタッフとして置いてほしいと思います。

何はともあれ、
「庵野さん」自身、
「2度と声優はやりたくない」という内容の
コメントをしていましたので、
おそらくこれっきりだと思われます。

「庵野さん」には、
監督として、
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版の完結編」
に尽力される事に期待したいと思います。



次に本作は、
小さいお子様には
向かない作品だと感じました。

「トトロ」や「ポニョ」と同じ
ファンタジー的な
作風を期待すると、
裏切られると感じました。

本作で
ファンタジー風と言えるのは、
「二郎」が鳥型飛行機で飛行する冒頭の夢や、
同じく夢の中で
「カプローニ」と交流する場面位でした。

それ以外の場面は、
至って単調で、
小さいお子さんには
退屈かもしれないと感じました。


また本作では、
「二郎」と「菜穂子」のキスシーンが
頻繁に登場するのも
お子様には少し恥ずかしいかもしれません。


そして、
私自身が戦闘機だの戦車だの
ミリタリー関係はもちろんの事、
機械関係全体について
知識に乏しく関心も浅いため、
戦闘機開発の過程が
少し退屈に感じました。

上映中に、
ほんの少しの間ですが、
居眠りしてしまいました…

「宮崎監督」は、
「天空の城ラピュタ」や「紅の豚」等の過去の作品で、
飛行機の描写に
非常にこだわっていました。

故に、
零戦の設計者である
「堀越二郎」の物語を
アニメ化するという流れは
必然だったかもしれません。

ただ、
今回鑑賞していて、
「宮崎監督」自身の私情が
込められ過ぎていて、
飛行機に興味のない観客が
置き去りにされてしまうのでは
と感じました。

以前「宮崎監督」が、
息子である「宮崎吾朗氏」が監督した
映画「ゲド戦記」の試写会を
途中退場し、
「気持ちで映画を作っちゃいけない…」
とぼやいている姿を映した
番組を視聴しました。

今回の作品の情報が公開された当初、
「飛行機好きの宮崎監督が気持ちで映画を作った?」
と解釈しました。

しかし、
公開前のインタビューで、
「宮崎監督」は、
決して自分の嗜好だけで作ったのではなく、
飽くまでこれまで通り、
時代が必要としている作品を作ったに
過ぎないとコメントしていました。


本作に対する
率直な感想として、
「見る人を選ぶ映画」
という印象が拭えませんでした。

ただし、
鑑賞し終えた後、
暫く時間が経ってから、
胸に迫る作品でもあると感じました。

本作のテーマについては、
インタビューで「宮崎監督」自身
「わからない」とコメントしていました。

劇中で、
「カプローニ」が「二郎」に対し、
「持ち時間の10年を、力を尽くして生きろ」
という内容の台詞を言っていたと思います。

「宮崎監督」は、
その10年を、
一生懸命生きなければだめなんだと思うと
語っています。

持ち時間の10年の最後は
ズタズタだったと語る「二郎」が、
「菜穂子」と「カプローニ」の言葉に後押しされ、
それから先も生きて行く事を決意する姿が、
ラストでは描かれていました。

上記の場面を見ていて、
挫折しても、
愛する者を亡くしても、
夢を奪われても、
それでも人は生きていかなくては
いけないと訴え掛けられている様に感じました。

上記のラストシーンを見ていると、
2012年に放送された
NHK連続テレビ小説「純と愛」の
最終回の場面を思い出しました。

「純と愛」は、
仕事でもプライベートでも
次々に問題が降りかかり、
それらのほとんどがすっきり解決しないまま、
逆境の中あがき続ける主人公の姿を映して
物語は幕を降ろしました。

「純と愛」はすこぶる不評に終わり、
後番組の「あまちゃん」は、
打って変わって
(前半は)明るく能天気な内容で、
大好評でした。

暗い話ばかりだと
確かに気が滅入りますが、
「純と愛」の最終回は、
逆境の真っただ中にいる人々に
寄り添おうとする
作者の思いが込められていたのではと
個人的には受け止めました。

逆境にいる人に、
あえて辛い現実を直視させ、
鼓舞させる内容の作品を提供する事と、
一時でも辛い現実から解放され、
明るい気持ちにさせる内容の作品を提供する事の
どちらが正しいのかは分かりません。

ただ、
「自分が気に入らないからこんな話は作るな!」
とは言いません。

人それぞれその時の気分で
見たい作品を自由に選んで、
見る事ができればそれでいいと思います。

そう考えると
今回の作品も、
「見る人を選ぶ作品」
であると思われます。


震災や貧困と言った
現在の日本と類似する
過去の日本を舞台に、
精一杯生きる人々の姿を描き、
重い話かもしれません。

しかし、
単なる暗く悲しい話でもなければ、
安直に叱咤激励する話でもなく、
ささやかな希望をくれる話だと感じました。



さてさて、
今回72歳にして、
新たな挑戦を試みた
「宮崎監督」ですが、
果たして次回作は、
どの様な作品になるのでしょう?

また、
ファンや関係者の予想を裏切る
意外なテーマの作品になる事でしょうね。

何はともあれ、
楽しみにしたいと思います。


大変長くなりましたが、
今回はこれまで!



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